#87
今回は、5月6日(水)に放送されたNHKスペシャル「わたしをあきらめない」を見て思ったことを書いていきます。
★どういう番組か
川崎市のとある小学校「5年1組」の1年間を追った番組です。担任の渡邉信二先生は、かつていじめが原因で自殺した川崎市の中学生を調査していました。
その経験から、「子どもを死なせない」ことを誓い、いじめをなくすための授業を生徒にしています。
自殺した中学生は、「こんな自分が生きている資格はない」と自信を持てずに命を絶ちました。自分をあきらめていたのです。
そんな経緯から、番組のタイトルは
「わたしはあきらめない」ではなく「わたしをあきらめない」なのです。
熱血あふれる、涙もろい先生。子どもたちとの関わり方は印象的でした。放送時に投稿したツイートともに、色々と書いていきます。
長くなってしまったので、前編と後編で分けました。今回は【前編】です。
音声動画はこちら↓
【後編】はこちら↓
★子どもと対等に接することが大切
生徒を一人の人間として、まっすぐに向き合っていることは素晴らしいですね。
怒鳴ったりして生徒を従わせようとする先生がいますが、そういう行為では生徒と対等に接していません。
むしろ生徒を支配し、操作しているわけなので、子どもたちは嫌な気持ちになります。先生への不信感が募っていきます。
そのような先生に何か言われたとしても、心に響くでしょうか?響きませんよね。
普段から対等に接していないと、何か大切なことを伝えようとしても生徒には伝わりません。「うるさいな〜」と反発され、逆効果です。次の項目でも書きますが、生徒との信頼関係がないといけないのです。
★信頼関係ありきの授業でないといけない
「いじめ」を授業で取り扱うのは難しいです。
そもそも、いじめに関する知識や対応策、経験談などがないとうまく伝えられません。
中途半端に伝えてしまったら、子どもに悪影響を及ぼしてしまうこともありえます。
前の項目でも書きましたが、信頼関係がないと子どもに声は届きません。
いじめの出来事を伝えたとします。もし信頼関係がなかったら、その内容はただの他人事として捉えられてしまうかもしれません。同じ方法でいじめてみようと思ってしまう人もいるかもしれません。そしたらむしろ悪影響…。
生徒によっては、いじめの話を聞いて学校にいることが怖くなってしまう人もいるかもしれません。そういう生徒が出ないようにどうやって伝えるべきなのか?そこらへんはとても難しい問題ですね。
子どもたちと「いじめ」は隣り合わせの関係にあります。「いじめ」によって「死」を選んでしまう人もいます。
つまり、子どもたちと「死」は隣り合わせと言えます。そのことをしっかり伝えるために、子どもたちとは良い関係でないといけませんね。
★「いじり」と「いじめ」は違う
西野亮廣さんの「革命のファンファーレ 現代のお金と広告」
という本で、「いじり」と「いじめ」の関係について書かれていて、その内容が印象的で覚えていました。
信頼関係のない「イジリ」はイジメだ。
イジリとイジメの境界線は言葉の強弱ではなく”信頼関係の有無”だと僕は考えている。
ちなみに、一つ前の文は以下のように書かれている。
問題は、「何を言ったか?」ではなく、「誰が言ったか?」だ。
この内容も印象的だったのか、放送当時のツイートにも同じことを書いていました(上記のツイート参照)。
仲が良い友人たちとであれば、ふざけ合うのは楽しいです。信頼関係があるわけなので。
しかし、そんなに仲良くないクラスの人に「ちょっかい」や「嫌がらせ」をされたら、悲しい気持ちにしかなりません。
子どもたちはおそらく、信頼関係の有無が大きく影響していることを知らないのかもしれません。
バラエティー番組で「いじられている」芸人さんを見て、それをそのままクラスの生徒にやろうとするのは間違いです。そういうちょっとした行動が、誰かを傷つけることになります。
担任や周りの大人が、間違いであることを教えて上げる必要があります。また、「おかしい」ことは「おかしい」と言える環境がないといけません。
とはいえ、それはかなり難しいことではあります。
実際、「いじり」と「いじめ」を区別できていない大人もたくさんいるでしょう。いじめをしてきた子どもが大人になっているわけですから。大人による陰湿ないじめだって実際には存在するわけですし…。
自分の何気ない言動が、誰かを傷つけていないか?
いじっているつもりが、実はいじめになっていないか?
子どもの頃から考える習慣を身につけるべきではないかと思います。
★集団生活はいじめが発生しやすい
特に、集団の中で浮いている人を批判したりいじめたりしがちです。どうしても目立ってしまって、いじめのターゲットになりがちなのです。
僕も、大きないじめには遭遇していないものの、周りと上手くやっていくことはかなり苦手でした。集団生活が大嫌いでしたね…。
中野信子さんの「ヒトは『いじめ』をやめられない」という本では、いじめをゼロにすることは厳しいということを脳科学的に解説しています。
僕も、クラスで変わっている人や自分とは違う考え方の人がいたとき、どうしても嫌悪感を抱いてしまうときがありました。偏見の目で見てしまい、ますます悪い人間に思えてしまったのです。
でも、それは間違っていました。以前記事ブログでも書いたように、自分と違う人は皆「先生」なのです。
他者の行動を制限することはできないけれど、他者を受け入れることの大切さを伝えることはできます。教師としての役目が問われることではないかと思います。
★「死」が身近な存在であることを知るべき
渡邉信二先生は、自殺した生徒のことを授業で取り上げていました。ただ、保護者によっては「子どもに自殺のことを教えるなんてどういうことだ」と思う方もいるかもしれません。
しかし僕は、自殺による「死」について、生徒に教えたり考えさせることに賛成です。実際に子どもたちの現場で起こっているわけですし。この記事の冒頭にも書いたように、
子どもたちと「死」は隣り合わせの関係
と言えます。
クラスの生徒をからかったりいじったりすることで、どういうケースが発生しうるのか。奪われた命を無駄にしないために、実際に起こったことを伝えることは大切です。いじめを抑制する一つの方法になるのではないでしょうか?
子どもにとって、「死」はどんなものかはわからないし、考えることもないでしょう。突然友人がいなくなったら、どれだけ悲しいか。それを知ることは大切ではないかと思います。
どんなに大切なことを伝えても、全員に届くわけではありません。いじめは、全国のどこかで起こってしまっています。完全に無くすことは厳しいでしょう。
しかし、
「自分がいじめない」ということは可能です。微力なことかもしれませんが、まずは自分が他人に嫌な思いをさせないこと。そこから始めていかないといけないのではないかと思いました。
★子どもと対等に接することが大切
★信頼関係ありきの授業でないといけない
★「いじり」と「いじめ」は違う
★集団生活はいじめが発生しやすい
★「死」が身近な存在であることを知るべき
今回は以上の内容について書きました。まだまだ伝えたい内容があるので、続きは【後編】で書きたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
後編はこちら↓