#118
この記事は、以下の【前編】の続きです。読んでいない方は、【 前編】を先にご覧ください。
〜内容〜
1. 上手になりたいと思えるように
2. 生徒との距離感についてー必要があれば支援
【前編】で1, 2を書きました。【後編】は3からです。
3. プレッシャーを与えないために
★成果を求めない、期待しすぎない。
そろばんの全国大会で日本一を取り、 指導者としても数々の日本一の生徒を輩出しているそろばんの先生 がいらっしゃいます。
その方のインタビュー記事を読んだことがあるですが、その中で、
「子どもたちに結果を求めたことは一度もありません」
と書かれていました。この考え方は、 素晴らしいなと思いましたね。
指導者としては、子どもたちに上手になってほしいです。 その結果として、 そろばんの大会でも活躍してくれたら嬉しいなと思っています。
ただ、こちらから一方的に「大会で良い成績を取れ」 と言ってはいけないと思います。子どもにとって「プレッシャー」 になってしまうことがあるからです。
上手になってくるとどうしても、 大会で良い成績を収めてほしいと思ってしまいます。 だからといって結果を求めようとしてしまうと、 子どもたちが苦しい思いをしてしまう可能性もあるのです。
応援しているつもりが、逆に追い込んでしまっている
ということがあり得るので、 特に試験や大会直前の声掛けには注意が必要です。
子どもたちの目線になって考えるといいですね。 大会で良い成績が取れるのは嬉しいことなので、「 たくさん練習してきたから、良い結果が出るといいね」 と声かけするのは良いと思います。または、 どういう目標を持っているかを聞いてみるといいかもしれません。
(とはいえ、どう声かけすべきかは難しいところ… 正解はありません)
大切だと思うのは、「期待」するのではなく「信じる」 ことですね。
ホリエモンこと堀江貴文さんの著書「自分のことだけを考える」では、
期待しないけど信じる
と書かれています。相手は、 自分の思い通りに行動するとは限りません。 期待通りにいかなくても、「そういうもんだよな」と捉える。 だけど「信じる」のです。これは、 アドラー心理学の内容にも通じる内容ですね。
この書籍に関する記事ブログはこちら
また、「○○するなよ」と言い過ぎるのも良くないと思います。 それによってプレッシャーを感じてしまう可能性があるからです。 プレッシャーに感じて、ズルをしてしまうこともあり得ます。
ここでも、信頼関係が大事になってきますね。 こちらから信じる姿勢を持ち続けないといけません。
以前も紹介した宮本延春さんの言葉をもう一度引用します。
教師は生徒の気持ちを正確に知ることで適切な対応ができ、効果的な教育や指導を実践することができますが、生徒の正確な気持ちは、生徒自身が語ってくれなければ分かりようがありません。
だから、生徒が自分の気持ちを正直に話すことができるような環境をまず作ること、信頼関係を築くことが、教師が最初にしなければならないことなのです。
上辺だけの関係で、本音がひとつもない、たてまえだけの教育をごり押ししていけば、きっとどこかで破綻します。いつかは生徒に裏切られます。
全てが本音でなくてもいいのです。上辺の中に少しの本音があれば、それで十分なのです。
「オール1の落ちこぼれ、教師になる」から引用させていただきました。
★自分なりの目標を持って成長してほしい
子どもたちの中には、自分なりの目標を持っている子もいます。「 ○月までに△△点を取る」「○月までに△段を取る」 といったものです。
目標を絶対持たないといけない、というわけではありません。 ただ、闇雲にやるよりは「ちょっとした目標」 がある方が頑張れるかなと思います。もちろん、 人それぞれですが。
自分の目標を達成するために、 自分でルールを決めて練習することは大事です。 上手になればなるほど、 自分のルールで練習している生徒が多いように思います。
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自分で自分を追い込むのは良いことだと思います。
「全国大会で優勝したい」という目標を持っていることで、 どういう練習をすべきかを考え、 そのためにできることを何でもやる。
全国大会で優勝する人の中には、 毎日何時間も練習している人もいます。それは、 自分が立てた目標を達成するために、 自らを追い込んでいるのです。
とはいえ、好きでやっている人が多いので、「追い込んでいる」 ように見えて実は「のめり込んでいる」だけなのかもしれません( 本人にとっては)。
このように、 自分の目標達成のために自主的にやることは良いと思います。
自分で追い込むのは良いですが、 相手に追い込まれるのは嫌ですね。 これは押さえておかなければいけないです。
「目標の達成のために○○をやろう」と言う。 それがその子にとってピッタリなら良いですが、 ピッタリじゃなかった場合は辛いかもしれません。
自分のことは、自分が一番よく知っています。 子どもたちには自主的に練習し、 自分の目標を達成していってほしいです。 そのための助けとなれれば良いなと思っています。
4. 自己肯定感を高めてもらうために
★他人と比較はしない
子どもたち一人ひとり、成長の仕方はバラバラです。 人それぞれ違うわけなので、当然ですね。
優秀な人がどういう結果を出しているかを伝えることは良いと思い ます。それにより刺激を受け、「自分も頑張ろう」 と思うことができるからです。
ただ、優秀な人と比較してはいけないですね。
「○○と比べて君はダメだ」と言ってしまったら、 その子は自信を失います。自己肯定感が低くなってしまいます。
成長のスピードは人それぞれです。とあるタイミングで、 突然グンと伸びることもあります。 それがいつなのかはわかりません。 その子の成長に最適な環境になったとき、花開くと思います。
たとえすぐに伸びなくても、こちらができることは「待つ」こと。 そして、「信じる」こと。必要があれば「支援すること」。
自信を失わせず、 自己肯定感を高めた状態を維持できるかどうかが鍵になってくるの ではないでしょうか。
★あなたはあなたでいい
これは、どの生徒にも指導を通して伝えたいですね。
憧れの人がいて、あの人みたいになりたいと思うことはあります。 でも、「憧れの人」にはなれません。「あなた」は「あなた」 なのです。
自分に自信を持てない人ほど、 どうしても他人の視線を気にしてしまいます。「 あの人みたいになれたらな」と思ってしまいます。別に、 そう思うことは悪くないですが、 それによって自信を失ってしまうのはよくありません。
上にも書いたように、他人と比較しなくて良いのです。他人と「 比較」することは、自分を不幸に追い込んでしまいます。 アドラー心理学の内容を紹介するなら、比較すべきなのは「 今の自分」と「理想の自分」なのです。
今の自分に不満を持つことは悪くありません。 その不満をバネにして、成長していけば良いのです。「 自分がどうありたいか」を自分で考え、 それに向かって頑張っていく。 その助けができるようになりたいです。
F. ちょっと長い「最後に」ー目的は人それぞれ
ここまで長々と書いてしまいました。 相変わらずまとまった文章を書くのは苦手なので、 読みにくかったらすみません…。
さて。
全国にたくさんのそろばん塾がありますが、 塾によって指導の方針や目標は異なります。 そろばんの先生の考え方は一様ではないからです。 正解はありません。
子どもたちも同じです。 生徒がそろばんを習う目的や目標というのは、 一人ひとり違います。
新型コロナウイルスの影響で、 子どもたちの教育現場には大きな変化がありました。 学校が休みになり、 家にずっといる子どもは多かったのではないでしょうか。
以前も書きましたが、突然の変化で、 子どもたちは何らかのストレスを抱えている可能性が高いです。 それは、直接聞いてみないとわかりません。 悩みを抱えているのであれば、なるべく聞いてあげたいです。
(ここからは僕個人の主観なので、 間違っているかもしれませんが…)
子どもたちの中には、「久々に友達と会えて嬉しい」 という子が多いかもしれません。友達と会いたくて、 教室に張り切って来る子もいるように思います。つまり、 優先順位が
「上達」<「友達と会う」
になっているかもしれないのです。
もちろん、指導者としては子どもたちに上達してもらいたいです。 それは変わりません。
しかし、今は、 子どもたちのストレス緩和を重視すべきではないかと思います。
今までの当たり前の環境(毎日学校に行く、友達と遊ぶなど) が突然奪われたわけなので、不安やストレスはあると思います。 その状況では、練習に集中できません。
僕がもし子どもたちの立場だったら、当然不安になります。 そして、「友達に会いたい!」という思いが強くなるでしょうね… 。
ですから今は、 子どもたちの精神的ケアがとても大切ではないかと思います。
新型コロナが収束し、今までの生活環境が戻るまでは、 子どもたちのことをより一層見守っていきたいです。もちろん、 上達へのサポートもしっかりやります。
指導方法、接し方に正解はありません。また、 新型コロナウイルスの影響での環境の変化もあります。 指導者として、 子どもたちとどう接するかはとても重要な要素になってきます。
何度もしつこく書いているように、まずは子どもたちとの「 信頼関係」を築いていく。そこから始めていきたいです。 その上で、 上達のサポートができるように行動していきたいですね。
まだまだ未熟な面が多いですが、「子どもたちを幸せにしたい!」 という思いは人一倍強いです。自分なりの考えをしっかり持ち、 全力で子どもたちと接していきたいと思います。
今回書いた内容は、あくまでも僕個人の考えです。 同意できない部分もあるかもしれません。 参考になる部分があれば、参考にしていただけると嬉しいです。
今後も、子どもたちと良い関係を築けるよう、 自分のできることを考えていきます。
長くなりましたが、最後まで読んでいただき、 ありがとうございました。
【前編】はこちら