#35
今や本屋で見かけないことはない名著として、「嫌われる勇気」(岸見一郎・古賀史健著、ダイヤモンド社)がありますね。
この本は、僕の今まで読んできた本の中で、最も影響を受けた本の中の一つです。今でも時々読み返すことがあります。
今回は「嫌われる勇気」を読むの第6弾ということで、第五章に書かれている内容を元に学んだことや考えたことを書いていこうと思います。
前回までの記事をまだ読んでいない方はこちらを読んでからご覧ください。
どんなことが書かれているか?
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前々回と前回で、共同体感覚と勇気づけについて簡単に書きました。共同体感覚というのは、なかなか理解するのが難しい内容と言われています。今すぐにわかろうと急ぐ必要はありません。徐々に理解していけばいいなと思っています。
対人関係の入口として「課題の分離」という考え方があり、ゴールとして「共同体感覚」があります。入口からゴールへ向かうために、つまり共同体感覚を身につけるために必要な3つの考え方について、今回は書いていこうと思います。その3つとは、
・自己受容
・他者信頼
・他者貢献
です。
まず、今の自分というのを素直に受け入れることから始めないといけません。今の自分に不満を持ったり、他者と比較して自己嫌悪に陥ったりする方はいらっしゃるのではないでしょうか?
僕も気持ちの浮き沈みが激しいために、上記のような気持ちになることはあります。そうなると、何もかも悪い方向に考え始めてしまうのです…。
もちろん、今の自分から向上していく姿勢は大切ですが、今の自分もしっかり受け入れる必要があります。自己受容とは、ありのままの自分を受け入れ、前に進んでいくことなのです。
自己受容と自己肯定は違います。自己肯定は、根拠もなく自分に自信を持つことを言います。例えば、100点満点のテストで60点を取ったとき、「次は100点取れるから大丈夫!」と考えるのが自己肯定です。一方で自己受容というのは、「今は60点であることをしっかり受け入れて、これから100点に近づけるにはどうすべきか」を考えることなのです。
今の自分を受け入れることにおいて、承認要求する必要はありません。相手に自分のことを評価してもらう必要はなく、自分で自分を評価していくしかないのです。
承認要求をしたり、褒めてもらおうとすることは、他者の価値観・人生を生きることになります。そのような生き方はとても生きづらいです。また、自分が特別である必要はありません。今の普通の、ありのままの自分を受け入れることが大切なのです。それを踏まえた上で冷静に、「自分には何ができて、どういうことを伸ばしていくべきか」を考えていくべきです。
そして、身の回りの中で変えられるものと変えられないものを見分けていくことが求められます。変えられないものはしっかり受け入れ、変えられるものは勇気を持って変えていく必要がありますね。
自分自身に価値があると思えたときに、自分に自信を持ち、勇気を出して行動できます。そのためにも、自分を素直に受け入れることから始めるべきなのです。
他者と上手くやっていくためには、自分自身のことだけでなく、他者にも目を向ける必要があります。つまり、「自己の執着」から「他者の関心」に切り替えるべきなんですね。その時に、他者信頼という考え方が大切になってきます。
他者信頼とは、言葉の通り「他者を信頼すること」。もっと言えば、「他者を”無条件”に信じること」ですね。
「誰かに何か良いことをしたとしても、もしかしたら裏切られるかもしれない。」そんなことを考えたことがある方は意外と多いのではないでしょうか…?
しかし、それを考えてはいけないというのがアドラー心理学の考え方です。「課題の分離」という考え方で、裏切るか裏切らないかは他者の課題であって、自分の課題ではないのです。
裏切られることは悲しいことで、できれば起こってほしくないことですが、誰かと良い関係を築きたいのであれば、相手を無条件に信じないといけないのです。その上で、相手の動きに気にしすぎることなく、「自分がどうするか」だけを考える必要があります。
疑いの目で相手を見たとしても、良い関係は築けまけん。自分を疑ってくる人と関わりたいとは思えないですよね…。相手をありのままに見て、良い関係を築いていくことが求められます(これが尊敬するという姿勢に繋がっていきます)。
他者信頼というのは、誰かと横の関係を築くための手段であると言われています。上にも書いたとおり、上から目線で相手を見るのではなく、ありのままに見るというもので、仲良くしたい相手に使うものですね。
信頼する、つまり無条件に信じることを恐れてしまうと、誰とも良い関係は築けません。
もし、裏切られるなどの悲しいことがあった場合は、思いっきり悲しめばいいのです。痛みや悲しみを避けようとするあまり、身動きがとれず、相手と良い関係を築けなくなってしまうといいます。
「無条件に相手を信じる」
簡単なことではありませんが、実践すべきだと考えています。
1と2で書いた「自己受容」と「他者信頼」をすることで、「相手は仲間である」と考えることができます。仲間であれば、自分の共同体に居場所を見いだすことができ、「ここにいてもいいんだ」と思えますよね。
そして、仲間が周りにいるからこそ、周りの役に立ちたいと考え、行動すべきなのです。もちろん、自分のできる範囲のことで大丈夫です。それが他者貢献ですね。
自分を犠牲にしてまで、相手の役に立とうとする必要はありません。その姿勢で相手を助けようとしても、うまくいかないことが多いですし、自分自身にストレスが溜まってしまいます。
できる範囲のことをやり、「誰かの役に立っている」と思えたとき、自分の価値を実感しますよね。他者貢献というのは、自己犠牲することではなく、自分自身の価値を実感するためになされるものなのです。
以上で書いた3つの考え方は、円環構造になっています。つまり、
自分を受け入れる→他者を信頼する→他者の役に立つ→自分を受け入れる→…
と続いていきます。自分のことをしっかり受け入れられるからこそ、相手のこともありのままに見て、信頼することができる。そういった仲間に対しては、自分の出来ることをやろうと思えるし、それを実行することで自分に価値があると感じることができ、自分を受け入れることに繋がる…その繰り返しになっているのです。
どれ一つを欠いてもいけないため、これらの3つはしっかり理解する必要があると思いました。
ここまで、共同体感覚を身につけるためにすべきこととして、「自己受容」「他者信頼」「他者貢献」について説明しましたが、いかがだったでしょうか?
アドラー心理学では、幸福を以下のように説明しています。
幸福とは、貢献感である。
つまり、誰かの役に立てるからこそ、私たちは幸福を感じることができるのです。
そして前回にも書いたとおり、行動ベースではなく存在ベースで相手を見ることが大切です。どんな人であれ、「価値のない人間なんていない」のです。この考え方を忘れてはいけませんね…!
「今、ここ」にスポットライトを当てる
という言葉が本に書かれていました。自分の立っている場所にしか灯りがともっていないため、自分の前や後ろは真っ暗で見えません。ここでいう前や後ろというのは、自分にとっての過去や未来のことを指しています。
しかし、過去や未来のことをくよくよ考えていても仕方がなく、今を全力で生きる必要があるべきだとアドラー心理学では考えるのです。
暗くて周りは見えないけれど、自分のところだけ灯りが灯っていれば、周りからは自分のことが見えるはずです。そんなときに、自分には何ができるのか、何の役に立てるのかを考え、行動する。その姿勢を周りの人は見ているはずです。そして、自分を支持してくれる人が周りに集まってくれるはず…僕はそう信じています。
次回で「嫌われる勇気」シリーズは最後になります。最後は、今までの内容を簡単に振り返りつつ、追加で自分の考察などを書いていこうと思っているので、読んでいただけれると嬉しいです。
長くなりましたが、読んでいただきありがとうございました。
次の記事はこちら。