#24 (=4!)
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お正月の風物詩といえば、「箱根駅伝」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?
青山学院大学が四連覇を達成し、黄金時代を迎えています。当大学の陸上競技部を指揮するのが、原晋(はらすすむ)監督です。最近はテレビによく写るようになり、書籍も多数出版されていますね。
かつて箱根駅伝では無名だった青学をどうやって優勝に導いたのか。また、原監督がどのような人生を送ってきたのか。気になったので書店に行き、本を購入しました。
「逆転のメソッド」というタイトルの本です。
この本には優勝へ導いた軌跡や、監督自身について詳しく書かれており、読んでいてとても勉強になりました。
原監督も元々は陸上選手で、高校・大学と良い成績を収め、陸上部が創部したばかりの中国電力に入社します。しかし足の怪我の影響により思うように走れなくなり、入社5年で引退。その後は営業に全力を注ぎ、「伝説の営業マン」と呼ばれるほどまでになりました。
青学も駅伝に力を入れようという動きが起こり、それによって原監督に声がかかったらしいです。そこから部の立て直しが始まりました。最初は基礎的なところから改善していき、監督5年目で箱根駅伝初出場、11年目の2015年には優勝に導いたのでした。
僕が印象に残っていた箱根駅伝のレースの一つに、「学連選抜総合四位」というのがあります。2008年の出来事で、当時の学連選抜を指揮したのが原監督だったのです!当時は監督のことを知りませんでしたが、この結果により大学内外から評判を集めたそうですね。
この成績により、監督としての生活が続いているそうです。結果を出せないとクビにされますから、スポーツの監督というのは厳しいものだなと思います。いくつもの困難を乗り越えて今の青学があるということを知り、改めてすごいと感じましたね。
この本には、生い立ちの他にも監督になってからの指導法、選手の選び方、既存のルールの更新などについて書かれていました。どれも為になる内容ばかりです。また、就活についても大切なことが書かれていました。
順番に、思ったことなどを交えて簡単に書きたいと思います。
何が書かれているか?~目次~
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1.生活習慣改善
監督になりたての頃、部活はサークルのような雰囲気だったそうです。夜遅くまで遊んだり、飲みに行ったり…。箱根駅伝に出るためには生活習慣から直すべきだということで、ここから改革が始まったそうです。
中・長距離の陸上選手には、特別な用具は必要ありません。シャツとパンツがあればできます。だからこそ、体のコンディションには気をつけないといけないですよね。
(これを聞いて、数学が紙とペンさえあればできるということに若干似ている気がしました笑)
門限を設けたり、朝何時から練習するか決めたりと、基本的なことから改善していったそうです。たしかに土台となる部分が不安定だと、いくら頑張っても不備が生じるおそれがありますよね。
地道で楽しくない内容ですが、それを徹底したことはすごいなと思います。生活習慣が最近乱れている自分もとても勉強になります…。
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2.選手の選び方
監督は、スカウトする選手の選び方として「表現力豊かな人」を選ぶそうです。自分の言葉で話ができ、勉強を惜しまず努力する人なのかどうかをチェックしているそうです。
素人の僕からすると、とりあえず実力のある強い人を選べばそれでいいだろうと考えてしまいがちですが、そうではないんですね。
部活動で活躍させるために入れる選手も、普段はどこにでもいる大学生。大学の授業に出席し、同期とうまくやっていく必要が当然あります。校風に合わないと授業にもついていけなくなるし、部活にも悪影響を及ぼす可能性があります。
普通の一般受験と比べると、スカウトされる人はあまり大学の様子などを知らないまま入学してしまっているようなイメージがあります(僕の偏見ですかね…?)。
やはり馴染めない大学でやっていくのは大変ですよね。勉強もがんばりつつ、部活にも全力を注ぐ。選手にとって、入った大学が、文武両道が可能な環境であるかどうかというのは考慮すべきだなーということを学びました。
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3.本番に良いコンディションを持っていく
体育会って、とりあえず練習をとにかくたくさんやって大会に臨むというのがオーソドックスだと思います。自分も卓球部に所属していた頃、オープン戦やリーグ戦に向けて、体を酷使しながらもたくさん練習をこなした記憶が今でも鮮明に残っています。
しかし、大会本番に結果を出せなかったら意味がありませんよね。練習をやりすぎて、本番にコンディションを崩してしまったら最悪です。
青学が部で取り組んでいる内容として、目標管理シートと呼ばれるものがあります。月単位で達成できそうな目標を立てたり、次の大会でどのような結果を出したいかを記入するそうです。
要するに、「目標の明確化」です。目標を立てさせ、具体的にどのようなことをしていくかを選手一人一人に考えさせます。
自分が今目標に対してどれぐらいの位置にいるかを知ることで、今後の練習をどうしていくべきかも明確にわかってきます。ただ闇雲にがんばっても自分がどういう状態かわからないし、本番に向けて調整するのも難しいですよね。
目標を立て、周りの人とも共有する。自分だけではなく相手のこともわかり、適切なアドバイスができる。それは相互の刺激にもつながり、結果的には部全体の成長につながるなーと感じましたね。この目標の明確化は素晴らしいと思いました。
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4.陸上のあり方を変える
監督曰く、陸上の選手は会社に入ってから出世しにくいのだそうです。辛抱強くひとつのことを継続するのは得意なものの、チームワークでコミュニケーションを取ったりすることには適していないそうです。
僕は知りませんでしたが、陸上競技では「練習中にしゃべるな」とか「黙々と走れ」といった修行僧のような教育を受けるそうですね。それが昔から今まで続いているんだとか。
しかし社会に出てうまくやっていくためには、横とのつながりをしっかりとれないとしんどいはずです。陸上独特の特徴が社会には適していないということで、監督はそれを変えようとしたのでした。
僕も既存のルールを守るというのはあまり好きではありません。しっかり説明してくれるならまだしも、「昔からこういうルールだから」という説明で片付けられても納得がいきません。
本にも書いてありましたが、規制やルールというのは人間が作ったものですから、必要があればどんどん変えていかないといけないですよね。
前例に拘り、新しいことに踏み出せない社会人の方は多いそうです。そのことに監督は懸念を抱き、陸上においても必要な部分はアップデートしたいという考えがあるのですね。
コミュニケーションをしっかり取れるような指導をすることで、選手は精神的にも大きく成長すると思いますし、人の心がわかる逞しい人間になっていくと思いました。
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5.部活は就活
就活生はよくわかると思いますが、面接ではガクチカ、すなわち学生時代に頑張ったことを聞かれます。サークルやボランティア、学業などを挙げて説明する場合が大半だと思います。
部活も立派なガクチカの一つです。会社がどういう業界であれ、自分が全力を注いできたことは話すべきですよね。
「〜をやりました」ではなく、「〜をどのようにやり遂げたのか」が面接官の聞きたいことです。特に体育会だと部員同士の連携が必要で、苦労することもたくさんあるはずです。それを説明すると効果的ですよね。
部活動の経験が就活にも生きる。まさにその通りだなと思いました。
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F.さいごに
本を読んで改めて、「原監督ってすげーな…」とただただ感心してしまいました!
監督曰く、
監督業は人と物、お金を動かしてチームを作り上げていく仕事
であり、会社での営業の仕事と変わらないそうです。会社で日々懸命に働いてきたノウハウが選手育成にも活かされ、多くの有能な人材を社会に輩出している。それは並大抵の人はできないことです。
会社や監督業において様々な困難を抱え、それを乗り越えてきた原監督。大切なことは次の2つだそうです。
・最後まで諦めないこと
・悔しいと思う自分を持つこと
人は他人の力を借りながら生きていますが、最終的な意思決定は自分にあります。物事に対してどう取り組むのか。諦めないでやり通せるか。社会に出て求められる能力がよくわかる一冊でした。読んで本当に良かったです!
ここで書けなかった内容はたくさんあるので、興味を持った方は、ぜひ読んでみてください!
記事を読んでいただきありがとうございました。
P.S. 自分が思う「すごい人」の本はたくさん読みたいですね。林修先生の本も売っていれば今度読んでみたいなと思っています。
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(最終編集日:2018/11/22)